和合流新聞記事の読み方

2006.7.18(火)日経新聞朝刊
「不動産証券化、地方で促進」国土交通省専門家を養成
国土交通省は地方の不動産証券化市場の育成に乗り出すようです。 そのための専門家を5年間で1万人養成を目標にしています。不動産証券化協会などが建設業者や不動産業者らを対象に半年の講習会を実施し、受講費用を国が助成するそうです。狙いは不動産投資資金の地方への流入を促進し、地価の底入れをした大都市との温度差解消です。すなわち地方はまだ不動産の値上がり傾向にないということです。
地方といいましても政令指定都市ならまだしも、そうでないエリアで多くの専門家を養成して、不動産を証券化すれば地方の地価があがるのでしょうか?みなさんいかが思われますか?多少の効果はあるかもしれません。でも限定的でしょうね。事実関東や関西、このエリア内ならどこでも地価が値上がりしているわけではありませんね。都心部のみが上がっているのです。要は現在と将来の需給バランスをどう見るか、どうするのかで地価は変動します。投資資金を無理に地方に向け、地価を上げることや地方に専門家を養成することの必要性を私はあまり感じません。この点は市場原理に任せるべきです。
それよりも産業の発展や人口の増加が実現するような政策こそが重要で、それが効すれば必然的に地価は上がっていくと思うのですが、いかがでしょうか?頭のいいお役人方の中に、「不動産証券化の専門家がいないから地方では不動産の証券化が進まない、結果として地価が上がらない」という単純な発想の持ち主がおられるなら悲しいことです。
でもここには何か裏があると読みますと見方も変わります。すなわち逆に都心部の地価をあまり上げたくないのでしょうね。所得格差でなく資産価値格差をあまり生じさせたくないと考えてのことかもしれません。「地方の地価はまだ下がり傾向で、早く手を打たないと都市部とますます資産価値格差が広がる。そのことが大きな政治問題にならない内に、とりあえず手を打った」というのが私の見方です。効果が出るかどうか注目しておきましょうね。

和合 実